【今年のインフル対策】痛くない?鼻からできるワクチン「フルミスト」もご検討を
こんにちは。
季節が進むにつれ、今年もインフルエンザ予防接種の時期が近づいてまいりました。
毎年ご相談いただく中で、特に小さなお子さまの保護者の方からよく聞かれるのが、「注射が怖くて泣いてしまうんです」「もっと負担の少ない方法はありませんか?」といったお声です。
そこで本日は、「フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)」という新しい選択肢について、科学的な根拠とともにご紹介したいと思います。

以前当医療法人がテレビの取材を受けたときのものです。
■ フルミストってどんなワクチン?
フルミストとは、鼻からスプレーで吸入するタイプのインフルエンザワクチンです。正式には「生ワクチン(弱毒化)」で、主に2歳〜18歳の健康な方を対象(国内産フルミスト)に使用されます。
注射ではなく、鼻腔の粘膜から免疫を誘導することで、自然に近い形でウイルスへの抵抗力をつけることができます。
■ 論文から見る有効性と安全性
複数の研究で、注射型と同等かそれ以上の効果があると示されています。また、耐性も良好で、副反応は軽度な鼻水や鼻づまり程度とされています。
- イギリスの調査では、経鼻ワクチンは注射よりも高い感染予防効果を示したと報告されています(Greener, 2015)。
- また、集団内での感染拡大を防ぐ“間接的予防効果(集団免疫)”も注目されています(Mayor, 2016)。
■ 注意点と適応について
フルミストは非常に有効な手段ですが、以下のようなケースでは接種が適していないことがあります。
- 2歳未満の乳幼児
- 強い喘息発作の既往がある場合(軽症であれば使用可のケースも)
- 免疫力が著しく低下している場合(例:抗がん剤治療中など)
詳細は、医師の判断のもと、個別にご案内いたします。
■ 柏市の助成はどうなる?
なお、昨年度は柏市においてインフルエンザワクチン接種に対する助成制度(フルミスト含)が実施されておりましたが、本年度の助成については現在のところ正式な発表はされておりません。
しかしながら、昨年同様に助成が実施される可能性が高いと考えられており、当院としても最新情報を随時確認しております。
今後、助成の有無や詳細が判明次第、当院ホームページやブログにて速やかにご案内いたしますので、ぜひ定期的にご確認ください。
■ 院長コメント👨⚕️
歴史に学ぶ「選択肢」の力
フルミストのような“選べる予防法”があることは、現代医療の進歩を象徴しています。
かつて江戸時代、葛飾北斎は90歳を過ぎても新しい表現を追い求め続け、「あと5年生きれば、真の絵師になれた」と語ったそうです。進歩とは、常に選択肢を広げることで生まれるものです。
医療もまた同じ。注射だけでなく、鼻から吸うという新しいアプローチがある今、個々の患者さんに合った方法を選ぶことで、より穏やかで効果的な予防が可能になります。
未来を描くのは、ひとつの“選択”かもしれません。
ぜひ、痛くないインフルエンザ予防の新しい選択肢として「フルミスト」もご検討ください。