こどもの「いやいや期」について:反抗は成長の証
小さなお子さんの成長過程で、多くの親御さんが直面する「いやいや期」。この時期は、お子さんが初めて自己主張を強め、親の言うことに対して「いや!」と反抗する姿が多く見られます。これは1歳半から3歳ごろに訪れる「自己主張の時期」とも呼ばれ、健全な成長の一環です。ここでは、いやいや期に関する最新の研究と、親がこの時期をどうサポートすべきかについてご紹介します。
まず、Baillargeonら(2012)の研究によると、約1歳半から2歳半の間、子どもたちの多くが反抗的な行動を頻繁に見せることが確認されています。この研究では、多くの子どもがこの年齢で一貫して反抗的な態度を示す傾向にあり、このような行動がその後の成長に影響を与える可能性があるとしています (Baillargeon et al., 2012)。
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Barkley(1997)の研究では、親子の関係を改善するための効果的な行動管理法が提案されています。この研究では「親トレーニング」の効果が強調されており、親が子どもの反抗的な行動に上手に対応することで、親子関係がより円滑になることが分かりました。このトレーニングでは、子どもに対して適切なフィードバックと賞賛を与え、親子の絆を深めることが大切だと述べられています (Barkley, 1997)。
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いやいや期の具体的な対処法
「いやいや期」は、お子さんが「自分はこうしたい!」と主張するようになる時期です。反抗に対して過剰に反応せず、この成長の一環として温かく受け止めることが、親子関係を保ちながら自己主張の感覚を育てる鍵です。以下は、いやいや期を乗り越えるための具体的なポイントです。
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- 共感して受け止める
まず、お子さんの気持ちに共感し、「どうして嫌なのかな?」と優しく問いかけましょう。共感する姿勢を見せるだけで、子どもが落ち着きを取り戻すことがよくあります。
☘️ - 選択肢を与える
「自分で選びたい!」という気持ちを尊重するため、「どちらがいい?」と選択肢を与えると効果的です。選択の自由は、自己決定感を感じさせ、反抗心を和らげます。
☘️ - シンプルで一貫したルールを設定する:わかりやすく、シンプルなルールを設け、柔軟に対応しましょう。一貫性があれば、子どもも安心してルールに従いやすくなります。
☘️ - ポジティブなフィードバックを意識する:望ましい行動ができたときには、大げさに褒めるくらいでちょうど良いでしょう。子どもは親からのポジティブな反応を喜び、それが自己肯定感を高めるきっかけになります。
☘️ - 冷静な態度で接する:子どもが「いや!」と言っても親が冷静でいると、子どもも自然と冷静さを保ちやすくなります。落ち着いた態度が、子どもの情緒にも良い影響を与えます。
院長コメント👨⚕️
いやいや期は、言わば子どもが「自分」という一つの船を操縦し始める「人生の航海デビュー」みたいなものです。この航海は、晴れの日もあれば嵐の日もあります。まるで古代ギリシャのオデュッセウスが長い航海の末に試練を乗り越え、帰り着いたように、この時期の反抗も試練のひとつ。親も時には困り果てるでしょうが、未来の「自立」という島に向かうために、今は航海の訓練期間と考えましょう。子どもが船を上手に操縦できるように、親はガイド役としてサポートを続け、共にこの冒険を楽しんでください。
親子で新しい発見をする楽しみを味わいながら、この「いやいや期」という航海をぜひ乗り越えていきましょう!