【アデノウイルスが原因の流行性結膜炎】子どもたちの目を守るために今知っておきたいこと

この時期、保育園や幼稚園、小学校などでよく見られるのが「流行性結膜炎(いわゆる“はやり目”)」です。
なかでもアデノウイルスが原因となるタイプは感染力が非常に強く、集団生活をしている子どもたちの間で急速に広がります。
本日は、最近の研究を踏まえて、アデノウイルス性結膜炎について正しい知識と対応法をお伝えします。


🔬【最新の医学論文から分かってきたこと】

  1. アデノウイルス性結膜炎は、上気道感染(のどの痛みや発熱)と同時に現れることが多く、特に小児では見逃されやすい傾向があります。
     子どもたちは症状をうまく伝えられないことも多く、誤った診断が合併症(角膜炎や視力障害)を引き起こすこともあります。
    [Kazinskaya et al., 2022](論文リンク)
  2. アデノウイルス感染は、目薬などの治療がなくても自然に治癒するケースが大多数であり、無用な抗菌薬の使用は避けるべきとされています。
     抗菌薬の目薬はウイルスには効果がなく、かえって副作用を引き起こすことがあります。症状に応じた対症療法が原則です。
    [Winters et al., 2024](論文リンク)
  3. アデノウイルス性結膜炎は、目の症状が落ち着くまで登園・登校を控えるのが基本であり、感染力は発症から7〜10日程度続く可能性があります。
     家庭内や園内での感染を防ぐためには、適切な休養と衛生管理が重要です。
    [Gonzalez, 2016](論文リンク)

👁【アデノウイルス性結膜炎の主な症状】

  • 結膜(白目)の強い充血
  • 水のようなサラサラした目やに
  • 涙目、目のゴロゴロ感
  • 両目にうつるケースが多い
  • 発熱、喉の痛みを伴う場合も

特に「目の赤みと熱」がセットで見られる場合には、咽頭結膜熱(プール熱)の可能性もあり、注意が必要です。


🧼【感染予防と家庭でのケア】

  • 手洗い、顔洗いを徹底
  • タオルや枕カバーは共用しない
  • 目をこすらないよう声かけを
  • 登園・登校は医師の指示に従い、症状が完全に落ち着いてから

治療としては、冷やしたタオルでのアイシング人工涙液の使用など、症状を和らげるケアが中心です。抗ウイルス薬は重症例を除き、一般的には使いません。


🏫【登園・登校の目安は?】

アデノウイルスは強い感染力を持つため、学校保健安全法では「感染のおそれがなくなるまで出席停止」となっています。
具体的には、「主要症状(熱、目の赤み、めやに)が消退した後2日を経過するまで」が登園再開の目安となりますが、園や学校のルールを必ず確認してください。


院長コメント 👨‍⚕️

アデノウイルス性結膜炎の感染力の強さは、まるで夏祭りの金魚すくいで一度すくったら10匹くらいついてくるレベルです。一人がかかると、あっという間に家族全員、さらにクラス全体に広がってしまう可能性があります。

室町時代、能楽の大成者・世阿弥は「時を知ることが芸の極意」と語りました。これは、病気の診断・対応にも通じる言葉です。早く気づき、早く正しい対応をすることで、大きな問題になる前に収束させることができます。

目が赤くなったときは「いつものこと」と油断せず、医師に相談し、正しい情報でお子さんと周囲を守っていきましょう。


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