インフルエンザに一度かかったのに、ワクチンは接種すべきか?
皆様、こんにちは。
インフルエンザの季節が本格化する中で、「すでに一度かかってしまったから、ワクチンは不要ではないか」というご質問を多くいただきます。結論から申し上げますと――たとえ罹患歴があっても、インフルエンザワクチンの接種は強く推奨されます。
その理由をご説明いたします。

📚 論文が示すワクチンの「第二の価値」――重症化の予防
- 症状の軽減効果
米軍病院における研究では、インフルエンザA(特にH3N2型)に罹患した方々のうち、ワクチン接種歴のある方は、発熱や全身症状の重さが有意に軽減されたという結果が示されています(Deiss et al., 2015)。 - 入院や死亡のリスクの低下
高齢者や持病を持つ方においては、ワクチン接種がインフルエンザに伴う入院や死亡のリスクを顕著に下げることが、メタ解析などで確認されています(Ahmed & Nicholson, 1996)。 - 次の型に備える防御策
インフルエンザにはA型・B型があり、片方にかかってももう片方には罹患しうるため、ワクチンによる広範囲な防御は依然として重要です(Smith & Gronvall, 2009)。 - 回復の早さ・体調全般の改善
最近の研究では、軽症例においてもワクチン接種者は未接種者に比べて体調の回復が早いことが報告されています(Chung et al., 2022)。
💡ワクチンは“備え”、そして“助け舟”でもある
ワクチンは決して「感染を完全に防ぐ魔法の盾」ではありません。しかし、それがあればこそ、症状を抑え、重篤化を防ぐ“備え”となるのです。
院長コメント👨⚕️
皆様、戦国時代末期の茶人・千利休をご存じでしょうか。彼の茶の湯は「侘び・寂び」に象徴される簡素さを追求しましたが、その裏には徹底した「備え」と「周到さ」がありました。火を点す炭の配置、客の動線、茶器の選定――すべては、いざという時のために「整えておく」心配りだったのです。
インフルエンザワクチンもまた、同じです。一度病にかかってしまったとしても、それで備えをやめるわけにはいきません。次に来る型への備え、重症化を避けるための第二の防御策として、もう一度、整える価値があるのです。
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