小児のマイコプラズマ感染症について

マイコプラズマ感染症は、小児における一般的な呼吸器感染症の一つであり、特に学童期の子どもたちに多く見られます。ここでは、いくつかの論文から得られた情報をもとに、マイコプラズマ感染症の特徴や症状、治療法について解説します。

マイコプラズマ感染症の特徴

  1. 感染の頻度と年齢層
    マイコプラズマ肺炎は、学童期の子どもたちに多く見られ、5歳以上の子どもたちで特に多発しています。しかし、5歳未満の小児にも感染することがあり、特に大流行時には幼児にも多く見られます(Eun et al., 2008)

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  2. 症状の多様性
    マイコプラズマ感染症の症状は非常に多岐にわたり、呼吸器症状に限らず、皮膚や中枢神経系、心血管系など他の臓器にも影響を及ぼすことがあります。具体的には、発熱、咳、頭痛、倦怠感などが一般的ですが、まれに髄膜炎や心筋炎、急性腎炎などの重篤な合併症を引き起こすこともあります(Baweja & Singh, 2021)

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  3. 診断の難しさ
    マイコプラズマは細胞壁を持たないため、通常の細菌とは異なり、β-ラクタム系抗生物質が効きません。そのため、診断にはPCR検査や血清学的検査が必要です。しかし、臨床症状が他の呼吸器感染症と似ているため、診断には慎重さが求められます(Defilippi et al., 2008)

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マイコプラズマ感染症の治療法

マイコプラズマ感染症の治療には、主にマクロライド系抗生物質が使用されます。これには、クラリスロマイシンアジスロマイシンが含まれ、特に学童期の子どもたちに効果的です。ただし、近年ではマクロライド耐性のマイコプラズマ菌株が増加しており、その場合は他の抗生物質の使用が検討されることもあります(Waites et al., 2017)

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抗生物質の良い飲ませ方🏥

アジスロマイシンとクラリスロマイシンは確かに苦みが強く、子どもに飲ませるのが難しい薬として知られています。しかし、いくつかの工夫で飲みやすくすることができます。

効果的な飲ませ方

甘いものと組み合わせる

  • チョコレートやココア味のものと混ぜると苦みが和らぎます[1][4]。
  • コンデンスミルク(練乳)やチョコレートクリームとよく混ぜるのも効果的です[2]。

冷やして飲ませる

  • 薬を水に溶かして砂糖を加え、冷凍庫でシャーベット状にすると飲みやすくなります[2]。
  • アイスクリームに薬をのせてサンドイッチ状にして食べさせるのも良い方法です[3]。

専用のゼリー状オブラート(おくすりのめたね®等)を使用する
これは子どもに気づかれにくく、かなり効果的な方法です

注意点

避けるべきもの

  • ヨーグルト、オレンジジュース、スポーツ飲料、乳酸飲料などの酸性の飲食物と混ぜると、コーティングがはがれて苦みが増すので避けましょう

その他の注意事項

  • 飲食物に混ぜる場合は、服用直前に混ぜ、飲みきれる量で混ぜることが重要です
  • 赤ちゃんの場合、薬を粉ミルクに溶かすとミルク嫌いになる可能性があるので注意が必要です

院長コメント👨‍⚕
空城の計かどうかよく見極める

マイコプラズマ感染症は、表面的には風邪のような軽い症状に見えても、実は見過ごせない病気です。例えるならば、歴史上の三国志の時代に登場する諸葛亮(しょかつりょう)の「空城の計」のようなものです。敵軍に対して無防備に見せかけ、実際には周到な計略を張り巡らせていたように、マイコプラズマも一見無害に見えることが多いですが、内部では深刻な症状を引き起こす可能性があります。だからこそ、表面的な症状だけで判断せず、しっかりと診断し、適切な治療を行うことが大切です。当院ではひとりひとりしっかりと家族を診るように診察していきます。家族の健康を守るために、賢い策を講じて、油断せずに対処しましょう。


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