抗菌薬が効きづらいマイコプラズマ?

こんにちは!今日は、マイコプラズマという細菌について、そしてその抗菌薬に対する耐性菌が増えている現状についてお話しします。マイコプラズマは柏市内でも徐々に流行が広がっている感染症です。特に呼吸器感染症を引き起こすことで知られており、治療には抗菌薬が使われますが、最近ではその効果が薄れてきています。

論文から見るマイコプラズマの耐性菌

まず、いくつかの研究からこの問題を見てみましょう。

  1. マイコプラズマ属の抗菌薬耐性
    マイコプラズマは、もともと細胞壁がないため、β-ラクタム系抗生物質には効きません。また、他の抗菌薬に対しても耐性を持つことが増えており、特にマクロライド系抗菌薬に対する耐性が顕著です。これは、23S rRNA遺伝子の変異が原因で、特にアジアでの耐性菌の割合が非常に高いことが報告されています (Bébéar et al., 2011)

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  2. 新しい耐性メカニズム
    別の研究では、マイコプラズマが抗菌薬耐性を獲得する過程について、ゲノムやプロテオームの変化が関与していることが示されています。この耐性は、単純な遺伝子変異以上に複雑な過程を経て進行していることがわかってきました (Chernova et al., 2016)

日本におけるマクロライド系抗菌薬への耐性化とその対応策

マクロライド耐性菌の現状

日本では、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンやアジスロマイシン)の耐性化が深刻な問題となっています。特に、これらの薬剤に対する耐性率はアジア全域で増加しており、日本でも同様の傾向が報告されています。

  1. 耐性率の増加
    日本におけるマクロライド耐性マイコプラズマ菌株は、特にアジア全体で広がっており、例えば中国では90%以上の耐性率が報告されています。日本でも、耐性菌が増加しており、クラリスロマイシンやアジスロマイシンが効かないケースが増えています (Pereyre et al., 2016)

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  1. 日本での実態調査
    日本国内で行われた調査によると、マクロライド耐性菌は、小児患者の中で特に高い割合を示しており、地域差は少ないものの、耐性株の存在が確認されています。これにより、従来の治療法では効果が期待できないケースが増えています (Akaike et al., 2012)

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代替治療薬について

クラリスロマイシンやアジスロマイシンが効かない場合、以下の抗菌薬が有効であるとされています。

  1. ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)やミノサイクリン(ミノマイシン®)
    これらはマクロライド耐性マイコプラズマに対して有効であり、発熱期間の短縮に効果的です。研究では、ミノサイクリン治療を受けた患者で発熱期間が大幅に短縮されたことが報告されています (Ishiguro et al., 2017)
  2. フルオロキノロン系抗菌薬(例:レボフロキサシン、モキシフロキサシン)
    フルオロキノロン系抗菌薬は、マクロライド耐性マイコプラズマに対して強力な活性を示しており、特に重症例で使用されます。日本国内の調査でも、これらの薬剤が有効であることが確認されています (Akaike et al., 2012)

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日本において、クラリスロマイシンやアジスロマイシンに対する耐性菌が増加していることは確かです。しかし、ドキシサイクリンやミノサイクリン、フルオロキノロン系抗菌薬が有効な選択肢として存在しています。適切な抗菌薬を選択することで、治療効果を高めることが可能です。

院長コメント👨‍⚕

マクロライド耐性菌が増えていると聞くと、まるで豊臣秀吉が天下統一を目指して困難に立ち向かったような気持ちになりますね。秀吉も、数々の戦いで逆境に直面しながらも、柔軟な戦略で次々と勝利を収めました。同様に、私たち医療者も、耐性菌という「敵」に対して新しい戦略を練る必要があります。クラリスロマイシンやアジスロマイシンが効かなくなっても、「新たな武器」を駆使して患者さんを守り抜く覚悟です。秀吉が知恵と勇気で難局を乗り越えたように、私たちもあらゆる手段を尽くして、この耐性菌との戦いに勝利を収めましょう!

豊臣秀吉が石垣を築いて城を守ったように、私たちも最新の知識と治療法で患者さんの健康を守ります。医療はまさに戦国時代の戦いのように、常に進化し続ける必要がありますね。

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