年末年始が近づくにつれ、「お正月は医療機関が休診になるのでは」「この症状を年明けまで待ってよいのか」といったご不安の声を多く頂戴いたします。結論として、当院は年末年始ならびに正月期間も、毎日診療を行っております。小児の疾患は暦に配慮して発症するものではなく、むしろ生活リズムの変化が大きい時期ほど、体調を崩しやすい側面があります。必要なときに、必要な医療へ確実にアクセスできる体制を維持することは、地域の小児医療における重要な責務であると考えております。

年末年始は、帰省・旅行などの移動機会が増え、睡眠時間の乱れ、食生活の変化、室内滞在時間の増加が重なります。また家族・親族が集まる場面が多く、感染症が拡がりやすい条件が整いやすい時期です。発熱、咳嗽、鼻汁、咽頭痛といった呼吸器症状に加え、嘔吐・下痢などの消化器症状を呈する胃腸炎も少なくありません。インフルエンザ等の流行期とも重なるため、症状の推移を適切に見極め、重症化の兆候を早期に察知することが肝要です。
受診の目安として、次のような所見がある場合には、早めの医療機関受診を推奨いたします。
①呼吸が苦しそう(陥没呼吸、喘鳴、顔色不良など)
②水分摂取が困難で尿量が著しく減少している
③繰り返す嘔吐や血便、強い腹痛
④高熱の持続や意識状態の変化
⑤乳児で哺乳低下・反応不良が目立つ
などです。一方で、全身状態が保たれ、水分摂取が可能であれば、室内環境の整備(加湿・換気)や休養、適切な解熱鎮痛薬の使用などで経過をみることもあります。ただし年末年始は「明日相談する」という選択肢が取りにくい時期でもあります。迷われる場合は、早期に受診し、病状評価と方針の整理を行うことが安心につながります。
当院は、年末年始も正月も毎日診療し、急な発熱や咳、嘔吐下痢、皮膚症状など、幅広い小児の健康問題に対応いたします。ご家族が不安を抱えたまま休日を過ごすことのないよう、引き続き丁寧な診療を心がけて参ります。どうぞ遠慮なくご相談ください。
院長コメント👨⚕️
年末年始の毎日診療は、私にとっては「駅伝の襷(たすき)」のようなものです。途切れさせないこと自体に意味がある。
歴史でいえば、江戸の町を守った火消しが象徴的です。火災は元日だからといって鎮まるわけではありません。だから彼らは、祝いの日も含めて備え、駆けつけ、鎮めました。私たちの診療も同様に、「病気は暦を見ない」という前提に対し、「医療は暦に置いていかれない」体制で応える営みです。今年も変わらず診療所の灯をともしてお待ちしております。

