🧠インフルエンザ脳炎・脳症の初期症状とは?~見逃さないためにできること~
インフルエンザ脳炎(または脳症)は、冬の小児診療で最も注意すべき合併症のひとつです。特に発症初期にどんなサインが現れるのか、近年の研究をもとに解説します。

📚最新研究からわかること
- 初期症状は発熱から24〜48時間以内に現れることが多い インフルエンザ関連脳症は、高熱(39℃以上)の発症から約1日で、けいれんや意識障害を呈することが多いと報告されています(Surtees & deSousa, 2006)
- 神経症状の出現は発症から3日以内が多い ベトナムでの研究では、16例の小児インフルエンザ脳症のうち約94%が意識変化を呈し、次いで筋緊張亢進、けいれんが続発したと報告されています(Nguyen et al., 2024)
- 予防にはワクチンが重要 2025年のイタリア報告では、IAE(インフルエンザ関連脳症)症例の全員が未接種児でした(Vitale & Denina, 2025)
⚠️こんな症状に要注意!
- 高熱後、数時間〜1日以内のけいれん発作
- ぐったりして反応が鈍い
- 言葉が出ない・目が合わない
- 異常な泣き方、眠り続けて起きない こうした症状が見られたら、すぐに医療機関へ。MRIや血液検査による早期診断が重要です。
院長コメント👨⚕️
昔、ベートーヴェンは耳が聞こえなくなっても音楽を諦めず、心の中で「交響曲」を奏で続けました。私たち小児科医もまた、子どもたちの“見えないサイン”を聞き取る耳を持たねばなりません。
インフルエンザ脳炎の初期症状は、一見ただの「熱のせい」に見えるかもしれません。でもその小さな違和感を聞き取る感性こそ、子どもの命を守る第一歩です。

